今のドル円相場はアベノミクスの推進により、大きく円安が進み120円前後で推移していますが、数年前までは1ドル80円を割れ、76円なんてレートをつけていた時代もありました。
民主党から自民党へ政権交代した事をきっかけに円安トレンドに転換した訳ですが、ここでは1ドル80円割れの超円高時代の原因を探っていきたいと思います。
小泉政権末期から第一次安倍内閣の2006年から2007年頃の120円前後のドル円相場から、3年程で76円までどうして進んだのか?要因はなんだったのか?調べてみました。
リスク回避の円買いとは?
当時は世界的に何か少しでも金融不安があると「リスク回避の円買い」と言われ、円高が進んで行きました。
スイスフランも円と同じような動きがあり、世界の中で日本やスイスは比較的安全というイメージがあったのでしょう。
ただ、日本で生活している人間としては、日本経済は全然良くないのに円が強くなるって事がすぐには理解出来ませんでした。
どうしてここまで円が買われるの?と何度も思いました。
東日本大震災が起きても円高相場が継続したのは驚いたものです。
今思えば、当時の円はアジアの中央銀行の中でも存在感をまして来ており、それらの国がドル中心の外貨準備から円を含めた多角化の傾向も出てきていたようですね。
円高は中小企業にとっては追い風、大企業にとっては逆風
現在の120円前後の円安相場において、円安に苦しむ中小企業という声も聞かれ始めました。
実際に倒産する会社も出てきているようで。
麻生太郎財務大臣、金融担当大臣の「円安相場で大半の企業は儲かっている。利益が出ていない会社は経営者の能力がない」といった発言も話題になりました。
中小企業というよりは、輸入業にとって円高は追い風、輸出企業にとって円高は逆風です。
日本の大企業はトヨタや任天堂、ソニー、パナソニックなど海外売上高の大きい輸出企業が多いこともあり、大企業は円高で苦しみ、円安は利益になるって考えがあるんだと思います。
2010年前後の超円高時代の日本では、円高で儲かる企業よりも、円高で苦しむこういった大企業にスポットライトが当てられていた気がします。
為替は相対的なものである
為替相場は2つの通貨間の相対的な強さで力関係が決まります。
当時のリーマンショック明けのアメリカ、ギリシャショックなど欧州債務危機のヨーロッパと比較すると、外国人投資家から見て日本円は買いだったのでしょう。
また、売りが売りを呼ぶという言葉もありますが、買いが買いを呼んでいました。
日足、週足、月足でチャートチェックしても、テクニカル的に本当にずっと強い下げトレンドでしたし。
短期的にはここで反転するか?底か?と思った事も多々ありましたが、長期的な抵抗ラインを超えられずにいました。
為替相場において金利は非常に大事
2007年頃にFXをはじめた方は高金利な外国通貨を買える=スワップ運用が魅力的だからといってFXトレードをはじめた方も多いと思います。
当時は、豪ドル円やNZランド円といった今でも比較的高金利な通貨以外でも、ドルもユーロも3%程度の金利がありました。
日本は今も昔も変わらず低金利ですが、この金利差がどんどん縮小していったのです。
アメリカのFOMCの記事でも軽く触れましたが、基本的に金利が安い通貨から高い通貨にお金は流れます。
また、日本円とドル円、ユーロ円のケースのように、金利が上がらなかったとしても、片方は横ばい、片方の金利は下がるといった事になると以前までの力関係とはガラっと変わってきます。
結果、ドル、ユーロが買われ円安だった相場が、段々と円高になり、そして、アメリカ、ユーロも低金利になった事で円高トレンドが鮮明になっていった訳ですね。